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2007年11月6日火曜日

手帳

ねこのパン屋さんは文房具が大好きだ。
「愛してさえいるわ」とも云っていた。

ねこのパン屋さんは、堅表紙の小さな手帳を愛用している。
いついかなるときでも持ち歩いているみたいだ。
以前、
エプロンのポケットからのぞいているのを見かけたことがある。
あれはたぶん、モレスキン。

シンプルな手帳とシンプルな生活。
年末だからと手帳を新調する習慣はないらしい。

しばしば粉まみれになってしまうという手帳は、
もしかしたらパンのにおいがするのかもしれない。

2007年11月5日月曜日

炎につつまれる金魚

ねこのパン屋さんが、金魚鉢を見つめている。

金魚鉢のなかには、二匹の金魚。

ねこのパン屋さんは、ほおづえをついて、
ゆらめき踊る金魚を目で追っている。

アーモンドの形をした目を、
ふだんの倍くらい、大きく見開いて。

すると、
ねこのパン屋さんの視線に反応したかのように、
二匹の金魚は、ぽっ、と燃え上がる。

水のなかでゆらめく小さな炎、ふたつ。

熱くないのか、驚いたようすも見せず、
金魚たちはぱくりぱくりと口を動かしつづけている。

二匹をつつむ青い炎は、
紫に、オレンジに、
ふるえながら色をかえていく。

ガラス細工のような燃焼。

ねこのパン屋さんは、そのようすを、
ほおづえをついたまま、じっと見つめつづけている。

2007年11月2日金曜日

ねこのパン屋さん

ねこのパン屋さんから、今日、電話がかかってきた。

《おいしいパンが焼けそうです。
 そういう予感がするんです。
 お代は、おおはばにおまけいたします。
 どうですか。
 近いうちに、食べにきませんか》

ええ、近いうちに、かならず。
ぼくはそう返事をした。

とはいうものの、
おまけしてもらうばかりでは、こころ苦しい。
(なんてったって、おおはばに、だ)

その日は、小さな花束を持っていこうと思ってる。