炎につつまれる金魚
ねこのパン屋さんが、金魚鉢を見つめている。
金魚鉢のなかには、二匹の金魚。
ねこのパン屋さんは、ほおづえをついて、
ゆらめき踊る金魚を目で追っている。
アーモンドの形をした目を、
ふだんの倍くらい、大きく見開いて。
すると、
ねこのパン屋さんの視線に反応したかのように、
二匹の金魚は、ぽっ、と燃え上がる。
水のなかでゆらめく小さな炎、ふたつ。
熱くないのか、驚いたようすも見せず、
金魚たちはぱくりぱくりと口を動かしつづけている。
二匹をつつむ青い炎は、
紫に、オレンジに、
ふるえながら色をかえていく。
ガラス細工のような燃焼。
ねこのパン屋さんは、そのようすを、
ほおづえをついたまま、じっと見つめつづけている。
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