パンナのパンチ
高橋秀実さんに『はい、泳げません』という著書がある。
水が怖くてしかたなかった筆者が、
スイミングスクールに通い、
泳げるようになるまでの始終が綴られたノンフィクションだ。
このなかに「歌いながら泳ぐ」という一節が出てくる。
からだをこわばらせたまま泳いでいると、
息継ぎをしているのになぜか息苦しい。
からだの緊張をほどくために、
では、歌いながら泳いでみたらどうか。
すこしずつ泳げるようになってくると、
かえってフォームが崩れるようになる。
知識が、そして経験が邪魔をしはじめる。
ぼくもいま、その只中。
歌いながら泳いでいると、
たしかに、こう、無心になっていく。
頭のなかがからっぽになっていく気持ちよさがあるのだ。
で、最近は気がつくと、なぜかこの歌。
はずかしいことはない。
いや、ほんとはけっこうはずかしいのだけれど、
ま、水のなか、誰に聞かれるわけでなし。
ぱんぱかぱ〜ん♪ ぱかぱんぱんぱんぱんぱ〜ん♪
思いっきり、かないみかさんが頭に宿った気分で、
ぼくは水を掻いている。
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